法隆寺周辺のおすすめ観光スポット紹介

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みなさん、おはようございます。

昨日は法隆寺についてガッツリと紹介しました。本日は法隆寺以外の奈良県斑鳩町のおすすめ観光スポットを紹介します。

中宮寺

中宮寺とは

中宮寺門跡碑
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/400,f10)

法隆寺東院伽藍から徒歩3分、その北東側に中宮寺はあります。聖徳太子の母穴穂部間人(あなほべのはしひと)皇后の御願によって、7世紀前半に創建されたと言われています。創建当初は現在の地から東へ500メートルほどの場所にあり、現在その場所は中宮寺史跡公園となっております。

昭和38年の発掘調査によれば、創建当初は四天王寺式の金堂を北に塔を南に並べる伽藍配置であったことが分かっております。また、法隆寺が僧寺であったのに対し、中宮寺は当初から尼寺として造られたようです。本尊は片足を組んで片手を頬に当てたスタイルで、教科書にも出てくることで有名な「菩薩半跏像」です。

中宮寺は、平安時代には衰退の道を辿り、宝物などは全て法隆寺へ移され、菩薩半跏像がいるだけの状態になっていましたが、鎌倉時代に、のちに中宮寺中興の祖と呼ばれる信如比丘尼(しんにょびくに)が、天寿国曼陀羅繍帳(てんじゅこくまんだらしゅうちょう)を法隆寺から取り戻し、いくらか復興を果たしました。

その後、度々の火災に遭い、戦国時代に法隆寺東院の山内子院(現在の場所)に避難しましたが、元の場所で再建されることはありませんでした。しかし、慶長7年(1602)年に後伏見天皇8世の皇孫尊智女王が住職となり、それ以降門跡寺院斑鳩御所として現在に至っています。ちなみに門跡寺院とは、天皇や公家が住職となり、高い位を持つ寺院のことを言います。

中宮寺の見どころ

中宮寺本堂

中宮寺本堂
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/160,f5.6)

現在の本堂は昭和43年(1968)に高松宮貴殿下の御発願でのもと、吉田五十八の設計で建造されました。

中宮寺本堂
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/200,f7.1)

現代的な和風のデザインで、周囲は春、夏になると、様々な花が咲き誇ります。斑鳩の里の女性寺にふさわしい雰囲気を醸し出しています。

本尊菩薩半跏像

写真撮影はできませんでしたが、本堂には、東洋美術界の「考える像」として有名な「菩薩半跏像(ぼさつはんかぞう)」が収められております。飛鳥彫刻の最高傑作と評価されており、日本の美術史には欠かすことのできない作品です。世界の学会で、この仏像の優しい表情が高く評価されており、エジプトの「スフィンクス」、レオナルド・ダ・ヴィンチ作の「モナリザ」と並んで「世界の3つの微笑像」とも呼ばれております。

天寿国曼荼羅繍帳

こちらも写真を撮ることはできませんでしたが、聖徳太子がお亡くなりになられたことを偲び、御紀橘大郎女(たちばなのおおいつらめ)が宮中の女性たちに、太子が往生したと伝えられる天寿国の理想浄土を刺繍にしたものです。鎌倉時代に信如比丘尼が法隆寺で天寿国曼荼繍帳を発見し、別にもうひとつそれを模した繍帳を制作しました。現在は、飛鳥時代の原本と鎌倉時代の模本が貼り合わされて、一つにまとめられています。

中宮寺の基本情報

  • 名称:聖徳宗 中宮寺
  • 所在地:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北1−1−2
  • アクセス:法隆寺東院伽藍より徒歩3分、奈良交通バス法隆寺参道駅より徒歩8分
  • 営業時間:春・夏(3月21日〜9月30日)9時〜16時30分、秋・冬(10月1日〜3月20日)9時〜16時
  • 拝観料:600円(法隆寺を拝観していると500円に割引)
  • 公式HP:http://www.chuguji.jp

法輪寺

法輪寺とは

法輪寺
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/160,f5.6)

法輪寺は斑鳩の里の北方に位置し、三井という地にあることから三井寺とも呼ばれます。この三井という地名は、聖徳太子が3つの池をこの地に移したことに由来すると言われています。

創建は飛鳥時代で、聖徳太子の子息である山背大兄王(やましろのおおえのおう)とその子の由義王(ゆぎおう)が、聖徳太子の病気の治癒を願って建造したと伝えられています。また、一説には、百済開放師(くだらかいほうし)、円明師(えんみょうし)、下氷新物(しもひしんもつ)の3人が力を合わせて建造したとも言われております。

昭和25年の発掘調査では、東に金堂、西に塔を置く、法隆寺式の伽藍配置であったこと、法隆寺の西院伽藍の3分の2の規模であったことが分かりました。平安時代の仏像が多いことからこの時代にも法輪寺の寺勢は盛んであったと言われております。

しかし、それから徐々に衰退していき、江戸時代には三重塔を残すのみとなってしましたが、享保年間に宝祐上人により再興が始められました。聖徳太子信仰に熱心な学者や大阪の商人の支援のもと、まずは三重塔が修理され、講堂、金堂が順次再建されていき、現在に至っています。(ちなみに上人(しょうにん)とは高い位の層への敬称です)

法輪寺の見どころ

三重塔

法輪寺三重塔
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/125,f5.6)
法輪寺三重塔
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/125,f5.6)

斑鳩三塔(法隆寺の五重塔、法輪寺の三重塔、法起寺の三重塔)の一つです。この塔は昭和19年(1944)に雷で全焼してしまいましたが、昭和50年(1975)年に地元の方や有名な作家、その他全国の方々から支援をもらい、再建されました。初層には焼失から免れた仏舎利を心礎に釈迦如来像、四天王像が安置されています。

金堂

法輪寺金堂
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/125,f5.6)

本尊を治めるために造られたお堂で、江戸時代の宝暦11年(1761)に建てらました。

講堂

法輪寺講堂
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/160,f5.6)

本来は、僧が修行をするために造られたお堂で、現在見えるのは昭和35年(1960)に改築されたものです。内部には全16体の仏像が安置されております。現存する飛鳥時代の木彫如来像では最大の「薬師如来坐像」、像高4メートルの「十一面観音菩薩立像」を前からだけではなく背後からも間近で見ることができます。

妙見堂

法輪寺妙見堂
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/160,f5.6)

妙見菩薩像を安置するお堂です。現在の建っている建物は平成15年(2003)年に再建されたものです。

地蔵堂

法輪寺地蔵堂
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/125,f5.0)

建物は江戸時代に造られたもので、安置されているお地蔵様は鎌倉時代末に作られたものです。

法輪寺の基本情報

  • 名称:法輪寺
  • 所在地:奈良県生駒郡斑鳩町三井1570
  • 拝観時間:8時〜17時(3月〜11月末日)、8時〜16時半(12月〜2月末日)
  • 拝観料:500円(境内は入場無料、講堂見学をするときは左記料金がかかります)
  • アクセス:JR法隆寺駅より徒歩35分、奈良交通バス「中宮寺前」駅より徒歩20分、中宮寺より徒歩13分
  • 公式HP:http://www1.kcn.ne.jp/~horinji/

法起寺

法起寺とは

法起寺
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/160,f6.3)

法起寺(ほうきじ)は推古天皇30年(622)に、聖徳太子が法華経を演説するために造った岡本宮を仏教寺院に改めるように、その子の山背大兄王に遺言をしたことを起源とします。聖徳太子建立七ヶ寺の1つであり、法隆寺地域の仏教遺産として、世界文化遺産にも登録されています。

当時の資料によれば、奈良時代には相当栄えており、鎌倉時代に講堂や三重塔の修理なども行われておりましたが、室町時代に入ると衰退してしまい、江戸時代に入ると三重塔を残すのみとなってしまいました。そこで、文久3年(1863)にこの状況を残念に思った寺僧の真政円忍とその弟子たちが三重塔を修復し、その後講堂が再建され、聖天堂も建立されました。

また、最近では昭和50年(1972)年に大規模な三重塔解体修理が行われ、昭和53年(1975)には講堂も改修されています。

法起寺の見どころ

三重塔

法起寺三重塔
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/125,f5.6)
法起寺三重塔
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/125,f5.6)

日本で現存する最古の三重塔です。高さは24メートルで、屋根数は異なるものの法隆寺の五重塔に似た雄大で安定感のあるスタイルが特徴です。

聖天堂

法起寺聖天堂
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/160,f6.3)

三重塔の向かいにある聖天堂です。文久3年(1863)に創建されました。

講堂

法起寺講堂
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/200,f6.3)

講堂は境内の北側にあります。現存しているのは元禄7年(1694)に再建されたものです。

法起寺の基本情報

  • 名称:聖徳宗教 法起寺(しょうとくしゅう ほうきじ)
  • 所在地:奈良県生駒郡斑鳩町大字岡本1873番地
  • アクセス:JR法隆寺駅より徒歩34分、奈良交通バス中宮寺前駅より徒歩20分
  • 拝観時間:8時30分〜17時(2月22日〜11月3日)、8時30日〜16時30分(11月4日〜2月21日)
  • 拝観料:大人300円、小学生200円
  • 公式HP:http://www.horyuji.or.jp/hokiji/

藤ノ木古墳

藤ノ木古墳とは

藤ノ木古墳
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/250,f7.1)

藤ノ木古墳は直径48mの大型の古墳で、6世紀後半の築造と推測されています。現在は、所在地の名称から「藤ノ木古墳」と呼ばれておりますが、古い資料では「ミササキ」あるいは「陵山」と呼称されていました。

藤ノ木古墳
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/200,f6.3)

「藤ノ木古墳」は1985年から2006年にかけて6度にわたって発掘調査が行われています。以前は墳丘に樹木が生い茂っていましたが、近年は整備されて形をはっきりと見ることができるようになりました。

藤ノ木古墳の見どころ

藤ノ木古墳
(撮影情報:Canon EOS RP,EF 16-35mm F4L IS USM,1/160,f5.6)

藤ノ木古墳の見どころは、南東方向に開口する横穴式石室です。発掘時、成人男性二人が合葬されており、副葬品に金銅製の馬具や刀剣等があったことから、当時の支配階級の1人であったと推測されています。内部は期間限定で公開されておりますが、扉の外から内部を覗くことはできます。

藤ノ木古墳の基本情報

名称:国史跡 藤ノ木古墳
所在地:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺西1-11-14
アクセス:JR法隆寺駅より徒歩25分、奈良交通バス「法隆寺参道」下車徒歩10分、法隆寺西門より徒歩6分
見学料:なし

編集後記

今回は法隆寺周辺の観光スポットを紹介しました。

飛鳥時代の建築は、木造の魅力が全面に出ていて、日本古来の寺院の素朴な美しさを感じることができました。昨日、紹介した法隆寺は現在に至るまでの1300年の歴史を当時の形をほぼ残す形で伝えていますが、本日紹介した周辺の寺院は、荒廃してしまった時期があります。都がだんだんと北部へ移っていく中で、斑鳩の地には人の往来が少なくなり、法隆寺以外の寺を守る余裕がなかったのかもしれません。

しかし、そういった時代の中にも、後世へ過去の文化を伝えようと立ち上がる人がいたことも事実です。では、なぜ文化遺産の保護は必要なのでしょうか。それは、過去を生きてきた人の積み重ねがあるからこそ、今の時代を私たちが生きている、ということを多くの人が理解するためではないかと私は考えています。

もちろん、文化遺産の美しさを純粋に楽しむこともできるでしょう。その歴史的背景や建築様式について知ることで、私たちの知的好奇心を満たしてくれます。

ですが、もっと重要なのは、多くの人が人類の偉大さを感じられることだと思います。過去の偉人たちはこんな素晴らしいものを作ってきたんだ、自分も社会に貢献してもっと世の中を豊かにしていきたい、と思う人を増やしていくということです。すべての人が文化的に価値のあるものを直接作ることはできないかもしれませんが、世の中に何か価値を生み出すことで、副産物的にそういった文化は生まれてくると思います。

昭和、平成、令和という三つの時代を生きる私も社会に付価値を生み出すための努力を行い、後世に私たちの時代が生み出したものを伝えていきたいです。

以上、文化遺産についてちょっと考えてみました。観光中は写真撮影に夢中ですが、ふとその土地や建物の歴史的背景を調べてみると、いろいろと考えさせられて面白いなと思います。

それでは、ここらへんで。

以上

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