「法隆寺」の見どころを写真とともに紹介 日本最初の世界遺産は見所いっぱいです
【コラム】法隆寺豆知識
聖徳太子って最近名前が変わったって聞いたけど?
聖徳太子の呼称について、最近の教科書では「厩戸王」(うまやとおう)の記載も見られます。「聖徳太子」の呼称は、生前には用いられていなかったことが理由です。太子没後100年以上経過したあとの8世紀ごろに作成された漢詩文集『懐風藻』で、はじめてその名が見られます。また、同時期に作成された『日本書記』の「用明天皇紀」には、用明天皇の4人の子息のうちの一人は「厩戸皇子」(うまやどのおうじ)だと書かれています。太子が活躍していた6から7世紀初めは、皇子という呼称は使用されておらず、「王」という言葉が使用されていたことから、「厩戸王」(うまやとおう)と呼称されています。ちなみに、この「厩戸」という名前は、馬屋(厩舎)の前で生まれたことに由来とする説があります。
聖徳太子の絵って本人ではないかもって本当?
100円札に描かれていることで有名な聖徳太子の肖像画ですが、聖徳太子本人という確証が得られていないため、最近では「伝」聖徳太子像と呼ばれています。(上記画像は「法隆寺iセンター」の入り口に飾られていたものです)
ユネスコ世界遺産って?
世界遺産とは、1972年のユネスコ(国際連合教育科学文化機関)総会で定められた世界遺産条約に基づく「世界遺産一覧表」に記載されたもののことをいいます。日本は1992年に加盟しており、現在は23件の遺産が世界遺産として登録されています。各国が推薦した遺産に対して、21か国で構成した世界遺産委員会で審査を行い、認定をします。最近では大阪府堺市の百舌鳥古墳群が世界遺産に認定されました。
この条約は、歴史や文化を世界各国が力を合わせて後世へ伝えていくことを目的としており、災害などにより遺産の保護が困難となった場合には、加盟国より支援を受けることができます。
伽藍ってなに?
伽藍(がらん)とは僧侶が集まって修行をする場所のことで、寺院の門や塔、お堂などの建築物を総称して指します。サンスクリット語の「samagharama」の音に由来しており「僧伽藍摩」が縮まって伽藍となったと言われています。
法隆寺への行き方
徒歩
JR法隆寺駅から徒歩約20分。道は平坦なので足腰に自信がある人は徒歩がオススメ。
バス
「法隆寺駅」から約20分に1本、奈良交通バスが出ています。約8分で「法隆寺前」に着きます。そこから徒歩5分で法隆寺に到着です。
法隆寺のまわり方
所用時間
全てをじっくり見るなら1時間半は見ておきたいところです。
おすすめルート
法隆寺参道 → 南大門 → 中門 → 西円堂 → 経堂および西室 → 五重塔 → 大講堂 → 金堂 → 聖霊院 → 大宝蔵院 → 東大門 → 夢殿鐘楼
法隆寺を見た後には、東院伽藍から徒歩3分程度で着く中宮寺も一緒に拝観されることをオススメします。
周辺施設
法隆寺iセンター
バス停「法隆寺前」駅からすぐの観光案内所です。法隆寺や斑鳩の里の観光情報が手に入ります。2階には法隆寺を改修したときに使用した宮大工の道具やその資料もあり、見応えたっぷりです。
画像左のキャラクターは、斑鳩町のマスコットキャラクター「パゴちゃん」です。正岡子規の「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」という俳句を体現したキャラクターで、柿の実の胴体に、頭には塔が生えています。「パゴちゃん」という名前は、仏教やヒンズー教の塔のことを英語で「パゴダ(pagoda)」ということに由来しています。
柿の葉寿司 平宗
法隆寺参道のすぐ横には奈良の名物「柿の葉寿し」の「平宗(ひらそう)」があります。柿の葉寿司とは、一口大の酢飯にサバや鮭などの切り身と合わせて、柿の葉で包んで押しをかけた寿司のことです。「平宗」は江戸時代末期の文久元年(1861年)創業で、約150年の歴史がある老舗です。桜で有名な奈良県吉野山に本店があります。
単品でも販売しています。法隆寺に向かう前にちょっと腹ごしらえをしてはいかがでしょうか。店員さんもとっても親切な方でした。
基本情報
・名称:聖徳宗総本山 法隆寺
・所在地:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1−1
・拝観時間:8時〜17時、冬季は8時〜16時半
・拝観料:大人1,500円、小学生750円(西院伽藍、大宝蔵院、東院伽藍(夢殿)3箇所のセット)
・駐車場:有料駐車場あり
・公式HP:http://www.horyuji.or.jp
編集後記
今回は日本最初の世界遺産「法隆寺」を紹介しました。法隆寺を訪れたのは小学生のときの修学旅行以来、約20年ぶりです。
大人になっていろいろな経験をしてから歴史地区に訪れると、子供のときは異なる発見があって面白いです。子供の頃は、歴史に興味がある子以外は、世界遺産を見ても特に何も思わないと思います。近所のお寺の大きいバージョンだぐらいの感覚です。しかし、大人になると、どうやって、これを1300年前の人が作ったのかとか、なぜ、この建物が作られたのか、なぜ、仏教などの宗教はこんなにも人を惹きつけるのかなど、世の中がどのように成り立っているのかを考えるきっかけとなりました。
特に興味深いのは、宗教の広まりです。現代では、大部分の日本人は無宗教であり、生まれた時は神社に行き、結婚するときはキリスト教牧師の前で永遠の愛を近い、亡くなったときにはお寺で供養をします。しかし、貧しい時代に人々が未来へ生き抜くためには宗教は必須であったと言えるのではないでしょうか。食べ物が自由に手が入らない時代、毎日は苦しいことに満ち溢れていたと思います。人間というのは、とてもメンタルに依存している生物で、同じ事象であってもその捉え方によって健康度が大きく変わってきます。
例えば、怪我をしてしまったことときに、ネガティブな人は、「自分はなんて運が悪いだ。馬鹿だ。これでは周りの仲間にも馬鹿にされるだろうし、足をひっぱってしまう」などと思い、気分が落ち込んでしまう一方で、ポジティブな考えの人は、「死には至らなかった。自分はなんて幸運なんだ。次回から注意すればいいし、勉強にもなった。怪我をしていることで、仲間が優しくしてくれるかも。飲み会での話題もできたし、いずれ治るからまあいっか」と前向きな気持ちで未来に向き合えます。
話を宗教に戻すと、いくら貧しく辛い状況であっても、何か信じられるものがあれば、前向きに生きていくことができるということです。だから、世界では多くの宗教が誕生し、人々の生活に根ざしていったのではないかと考えています。
私は完全に無宗教で、今後も何かの宗教に入ろうとも思っていないですし、誘いがあったとしても加入することはないでしょう。ですが、前向きに生きていくことにはこだわって生きていこうと思います。ここ法隆寺ではそんなことを考えました。
全然、カメラおよび写真について触れませんでしたが、撮影もとても面白い場所でした。広角レンズで五重塔を煽って撮るのは最高です。私が西院伽藍を拝観しているときは、ちょうど青空を見ることができ、五重塔を青空をバックに収めることができました。やっぱり、写真撮影時に青空が見えると気分が上がりますね。
長くなってしまいましたが、それでは。
以上